私は19歳の時に初めて「てんかん発作」を起こしました
当時働いていた会社を突然解雇される経験をしました
その後の就職活動では、ある問題に何度も頭を悩ませました
それは「面接でてんかんについて伝えるべきなのか?」という問題です
伝えれば不採用になるかもしれない
かと言って隠して入社しても後々トラブルが起こる可能性がある
実際に私はこれまでオープン就労とクローズ就労の両方を経験してきました
本記事では、それぞれのメリット・デメリットに加え私自身の体験談を交えながら解説します
これから就職・転職活動をする方の参考になれば嬉しいです
就活でてんかんを伝えるか悩む理由

てんかんを抱えながらの就職活動をしていると
「面接で病気について伝えるべきか」
という悩みに直面する方は多いのではないでしょうか
私自身も長い間この問題に頭を悩ませました
まずは、多くの人がなぜオープン就労とクローズ就労で迷うのかについて説明していきます
不採用になるのが怖い
持病でてんかんがあると伝えたら、不採用になるんじゃないか
そう不安に感じる人は少なくないと思います
実際、多くの人にとって「てんかん」と聞いて思い浮かぶのは
- 突然倒れる
- 意識を失う
- けいれん発作を起こす
といったイメージではないでしょうか
もちろん、それが間違いというわけではありません
しかし、てんかんについて詳しく知らない人からすると
「仕事中に発作が起きたらどうしよう」
「安全面は大丈夫なのだろうか」
と不安に感じることもあると思います
そのため、「面接で正直に伝えたら採用されないかもしれない」と悩んでしまうのです
入社後のトラブルが心配
一方で、クローズ就労を選択し、てんかんを伝えずに入社することに不安を感じる人もいると思います
例えば
- 仕事中に発作を起こしたらどうしよう
- 病気を申告しなかったことで、職場の人の信頼を失う可能性がありそう
- 高所作業や危険を伴う機械の操作・操縦など、てんかん患者は避けた方がいい作業を任されたらどうしよう
このような不安を抱えながら働くことになるため、「最初から包み隠さず伝えておけばよかった」と悩む人も少なくありません
特に職場では、自分一人だけでなく同僚やお客様の安全にも関わる場面があります
だからこそ、「病気を伝えない」という選択に不安を感じる人も多いです
オープン就労とクローズ就労で迷う
ここまでお伝えしたように、面接でてんかんを伝えるかどうかには、それぞれに異なる不安があります
そのため、「オープン就労」と「クローズ就労」のどちらを選ぶべきか悩む人は少なくありません
大切なのは、それぞれの特徴を理解したうえで、自分に合った選択をすること
次の章では、オープン就労を選ぶメリット・デメリットについて、私の体験談を交えながら解説していきます
オープン就労のメリット・デメリット

オープン就労は、てんかんであることを会社に伝えたうえで就職・転職する働き方です
病気を伝えることにはメリットだけでなくデメリットもあります
私自身も実際にオープン就労を経験したことで、働く前には分からなかったことを数多く学びました
ここでは、私の体験談を交えながらオープン就労のメリット・デメリットを解説します
オープン就労のメリット
オープン就労には、てんかんがあることを会社に理解してもらったうえで働けるというメリットがあります
そのため、症状に応じた配慮を受けながら、安心して働ける環境をつくりやすくなります
具体的なメリットは次のとおりです
① 病気を理解したうえで採用してもらえる
オープン就労では、面接の段階でてんかんについて伝えたうえで採用されます
そのため、会社は病気を理解した状態で受け入れてくれるため、「病気が知られたらどうしよう」と不安を抱えながら働く必要がありません
病気を隠さずに働けることは、安心して仕事を続けるうえで大きなメリットといえるでしょう
② 発作時の対応を事前に共有できる
あらかじめ職場へてんかんについて伝えているため、万が一仕事中に発作が起きても、周囲が落ち着いて対応しやすくなります
「どのような症状が出るのか」「発作が起きたらどのように対応すればよいのか」を事前に共有しておくことで、自分自身も安心して働くことができます
③ 高所作業や危険を伴う業務を避けてもらえる可能性がある
仕事内容について事前に相談できるため、自分の症状に応じて業務内容を調整してもらえる場合があります
例えば、高所作業や危険を伴う機械の操作など、てんかん患者は避けた方がよいとされる業務を任されるリスクを減らせることは、大きなメリットの一つです
④ 通院や体調について相談しやすい
てんかんは、定期的な通院や服薬が必要になることも少なくありません
オープン就労であれば、通院による勤務時間の調整や体調の変化について相談しやすく、無理なく働き続けられる環境をつくりやすくなります
このように、オープン就労には病気を理解してもらったうえで働けるからこそのメリットがあります
私自身もオープン就労を経験したことで、「病気を隠さなくていい」という安心感は非常に大きなメリットだと感じました
オープン就労のデメリット
オープン就労には多くのメリットがありますが、一方でデメリットもあります
ここでは、私が実際に感じたことも踏まえながら解説します
① 不採用になる可能性がある
オープン就労では、面接時にてんかんがあることを伝えます
そのため、企業によっては安全面や仕事内容を考慮した結果、不採用になる場合があります
特に、てんかんへの理解が十分でない企業では、不安を理由に採用を見送られることもあるでしょう
② 求人数が少ない傾向にある
病気への理解や配慮がある企業は増えてきていますが、まだ十分とは言えません
そのため、クローズ就労と比べると応募できる求人が限られ、希望する職種や勤務地の求人が見つかりにくいことがあります
③ 負担の少ない仕事が多く、給与水準が低めの求人もある
オープン就労向けの求人には、比較的負担の少ない業務が多い傾向があります
その分、給与水準が低めに設定されている求人も少なくありません
もちろん、すべての求人が当てはまるわけではありませんが、仕事内容と収入のバランスを考えながら仕事を選ぶ必要があります
④ 偏見や誤解を受ける場合がある
病気を理解してもらえる安心感がある一方で、「障害者」という見方をされることがあります
企業や職場によっては適切に配慮してくれるところもありますが、中には偏見や誤解を持つ人がいることも否定できません
そのような環境では、精神的な負担を感じてしまう場合もあります
オープン就労で感じた実際の体験談
私がオープン就労を経験したのは過去に一度だけです
当時は就労移行支援に通っており、同じ利用者から「人材を募集している会社がある」と紹介を受けたのがきっかけでした
会社側には、あらかじめ私がてんかんであることを伝えたうえで面接を受け、採用していただきました
実際に働いてみて一番感じたのは「病気を隠さなくていい安心感」でした
入社して間もない頃、上司から「発作が起きた場合はどのように対応すればよいですか?」と確認があり、私自身の発作の症状や対応方法について共有する機会がありました
そのとき、「万が一仕事中に発作が起きても、対応してくれる人たちがいるんだ」と感じ、大きな安心感を覚えたことを今でも鮮明に覚えています
この経験を通して、病気を理解してもらったうえで働けることは、精神的な不安を大きく減らしてくれると実感しました
クローズ就労のメリット・デメリット

クローズ就労とは、てんかんであることを会社に伝えずに就職・転職する働き方です
私自身は長年クローズ就労を選び、仕事をしてきました
実際に働いてみると、オープン就労にはないメリットを感じる場面もあれば、病気を隠して働くからこその大変さも身にしみて感じました
ここでは、私の体験談を交えながらクローズ就労のメリット・デメリットを解説します
クローズ就労のメリット
クローズ就労には、てんかんがあることを会社に伝えず働くからこそのメリットがあります
具体的なメリットは次の通りです
①求人数が多い
クローズ就労では、病気を開示しないため、一般求人を含め幅広い求人に応募できます
そのため、自分が希望する職種や勤務地、勤務条件に合った仕事を見つけやすいことが大きなメリットになります
②病気だけで判断されにくい
面接では、病気ではなく、これまでの経験やスキル、人柄などを中心に評価してもらえます
そのため「てんかんがある」という理由だけで判断されることはありません
③給与やキャリアの選択肢が広がる
応募出来る求人の幅が広いため、給与や福利厚生、キャリアアップなど、自分が重視したい条件で仕事を探しやすくなります
将来の選択肢を広げやすいのも、クローズ就労のメリットです
④周囲から特別扱いされにくい
病気を開示していないため、必要以上に気をつかわれたり、「てんかんだから」といって特別扱いされるような必要がなくなります
病気ではなく、一社員として見てもらいやすいので、気兼ねせずに働くことができます
このように、クローズ就労では仕事の選択肢が広ろく、病気で判断されにくいメリットがあります
私自身が長年クローズ就労を選んできた理由は、「てんかんがあっても普通に働ける」との思いが強かったからです
クローズ就労のデメリット
クローズ就労には多くのメリットがありますが、一方で病気を伝えないからこそのデメリットもあります
ここでは、私が実際に感じたことも踏まえながら解説します
①発作時の対応を共有できない
会社へ病気を伝えていないため、万が一仕事中に発作が起きても、周囲は適切な対応方法を知りません
その結果、職場の人を混乱させてしまう可能性があります
②必要な配慮を受けられない
病気を開示していないため、高所作業や危険を伴う機械の操作など、本来であれば避けた方がいい業務を任される恐れがあります
また、通院や体調面でも相談しづらく、1人で抱え込んでしまうことがあります
③病気を隠し続ける精神的負担がある
「仕事中に発作が起きたらどうしよう」「病気を知られたらどう思われるだろう」と、そんな不安を抱えながら働く人も少なくありません
病気を隠し続けることは、想像以上に精神的な負担になる場合があります
④発作による事故やトラブルのリスクがある
万が一、仕事中に発作を起こしてしまうと、自分だけでなく周囲の人を巻き込む事故につながる可能性があります
仕事内容によっては、人身事故や物損事故など重大なトラブルへ発展することも考えられます
そうした事態を防ぐためにも、自分の症状や仕事内容を十分に考えたうえで、クローズ就労を選択することが大切です
クローズ就労で感じた実際の体験談
私は、てんかんを発症してから長年クローズ就労を選んできました
理由はシンプルで、「てんかんがあっても普通に働ける」という思いと、「てんかんがあることを伝えたら採用されないかもしれない」と感じていたからです
実際、面接では病気について話すことはなく、入社後も周囲には伝えずに働いていました
しかし、仕事中は「もし発作が起きたらどうしよう」という不安を常に抱えていました
危険を伴う作業を任されたときはもちろん、普段の仕事でも「病気が知られたらどう思われるだろう」と考えることがあり、精神的な負担を感じる場面も少なくありませんでした
それでも当時の私は、「病気を隠して働くのが当たり前」だと思っていたため、それ以外の働き方を考えたことはありませんでした
だからこそ、その後オープン就労を経験したときに、「病気を隠さなくてもいい」という安心感の大きさを初めて実感しました
この2つの働き方を経験した今だからこそ、オープン就労・クローズ就労のどちらにもメリット・デメリットがあり、大切なのは自分に合った働き方を選ぶことだと強く感じています
私は、この経験を通して「どこで働くか」だけでなく、「どのような環境で働くか」を考えることの大切さを改めて実感しました
私が思う「てんかんを伝えるべき人」と「伝えなくてもよい人」

ここまで、オープン就労とクローズ就労それぞれのメリット・デメリットや私自身の体験談をお伝えしてきました
そのうえで私が思うのは、「どちらが正解」ということではなく、自分の症状や仕事内容に合わせて判断することが何より大切だということです
てんかんを伝えるべき人
私は、次のような方は面接でてんかんを伝えたほうがいいと考えています
- 発作が完全にコントロール出来ていない人
- 高所作業や危険を伴う機械の操作など、安全面に配慮が必要な仕事に就く人
- 発作が起きた際に周囲の人からのサポートが必要になる可能性がある人
- 通院や勤務時間などについて、会社に配慮をお願いする必要がある人
てんかんを伝えないくてもよい人
一方で、次のような場合は、必ずしも伝えなくてはならないとは考えていません
- 医師から就労に問題がないと判断されている人
- 長期間発作がなく、症状が安定している人
- 仕事内容や職場環境を考えても、安全面への影響がほとんどない人
ただし、これらに該当したからといって「絶対に伝えなくてよい」ということではありません
これはあくまでも私自身の経験から感じた基準であり、全てのてんかん患者に該当するとは考えていません
自分の症状や仕事内容を踏まえたうえで、安全に働き続けられるかどうかを基準に判断することが大切だと私は考えています
てんかん患者の就活で大切だと思うこと

ここまで、オープン就労とクローズ就労それぞれのメリット・デメリットや私自身の体験談をお伝えしてきました
最後に、私自身が就職活動を経験する中で「これは本当に大切だ」と感じたことを3つお伝えします
体調を最優先に考える
「早く働かなきゃ」「みんなと同じように仕事しないと」と焦る気持ちから、病気の症状や体調面をおろそかにしがちです
しかし、無理をした結果、発作が起きてしまったり体調を崩したりしてしまっては、長く働き続けることが難しくなります
まずは、自分の体調を第一に考え、無理のない働き方を選ぶことが何より大切だと私は思います
自分に合った職場を探すこと
同じ仕事内容でも、会社によって病気の理解や配慮の姿勢は大きく異なります
給与や休日だけでなく、相談しやすい雰囲気があるか、自分の症状に合った働き方が出来るかという視点も大切です
長く安心して働くためには、「どんな仕事をするか」だけでなく「どんな環境で働くか」も意識して職場を選ぶことが重要だと思います
正解は1つじゃない
オープン就労に向く人もいれば、クローズ就労に向く人もいます
私自身、どちらも経験したからこそ、「この働き方が絶対に正解」と言えるものはないと確信しています
だからこそ、就職活動を始める前に、まずは自分自身の症状について整理しておくことをおすすめします
例えば
- てんかん発作の頻度
- どのような発作が起きるのか
- 薬でコントロールできているか
- どのような場面で発作が起きやすいのか
最低でも、これらは自分でしっかり把握しておいた方がいいと思います
自分の症状を理解していると、「どんな働き方が自分に合っているのか」「どんな環境であれば安心して働き続けられるのか」を判断しやすくなります
そして、そのうえでオープン就労にするか、クローズ就労にするかを考えることが、後悔のない選択になると思っています
結論|大切なのはオープンかクローズかではなく働き続けられる環境

「てんかんを面接で伝えるべきか、それとも伝えないべきか」
これが正解と決めつけられるものではありません
私自身、オープン就労とクローズ就労のどちらも経験してきました
以前の私は、「てんかんがあっても普通に働ける」「てんかんだからと特別扱いされたくない」という思いから、長年クローズ就労を選んでいました
しかし、オープン就労を経験したことで、「病気を隠さなくてもいい」という安心感や、周囲に理解してもらいながら働けることの大切さにも気づきました
だからといって、オープン就労がすべての人に合うとも思っていません
反対に、クローズ就労が間違っているとも思いません
大切なのは、自分の症状や仕事内容、働く環境を踏まえたうえで、「無理なく働き続けられる環境」を選ぶことです
私も遠回りをしながら、ようやくその大切さに気づきました
この記事が、これから就職・転職活動をする方にとって、自分らしい働き方を考えるきっかけになれたら嬉しいです